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では,義務教育段階と高等学校段階における指導要録の相違点はどのようなものなのか。それは,両者における評定の出し方の相違そのものであるといえる。小学校児童要録及び中学校生徒指導要録には,各教科における観点別の評価を記入する欄が設けられており,達成度をA,B,Cの3段階で記入することになっている。Aは「十分満足できると判断されるもの」,Bは「おおむね満足できると判断されるもの」,Cは「努力を要すると判断されるもの」(以上,国立教育政策研究所による)であるとされ,評定に当たっては「各教科別に学習指導要領に示す目標に照らして,その実現状況を総括的に評価し,5,4,3,2,1により記入する」(国立教育政策研究所)ことになっている。評定の数値を定めるに当たっては,4観点全てがAなら評定は5,1観点のみBであれば4というようなルールを学校又は教師が定めておく必要があるだろう。気をつけてみてみると,小学校における単元ごとに作成された業者テストの問題部分に「関心・意欲・態度」などと評価の観点が明確にされていることがわかる。つまり,ペーパーテストによっても観点別評価が可能であり,中学校における定期テストにおいても,おそらく教師は観点別評価が可能な作問をしているはずなのである。
一方,高等学校生徒指導要録には,評定と習得単位数を記入する欄のみが設けられている。平成10年及び11年の第7次学習指導要領の改訂に伴って出された教育課程審議会(現中央教育審議会)答申によれば,絶対評価及び観点別評価の一層の推進と,高等学校生徒指導要録については多様な教育課程の編成を根拠とした扱いが示されている。また,評定については,目標に準じた5段階による評価方法を維持することとされており,ペーパーテストなどによる一部の観点に偏った評定が行われることのないように留意することが提言されている。つまり,この答申は生徒指導要録に観点別評価を記入する欄が設けられていないことによる,「知識・技能」のみに偏った評定がなされることを危惧しているのであり,この「知識・技能」こそ新学力観における「見える学力」なのである。なぜ,中教審答申はこのようなことを危惧しているのか。それは,文部科学省の発表した「学習指導と学習評価に対する意識調査の結果について」を分析することで見えてくる。
つづく
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